厚生年金と国民年金の公的年金積立金を運用し、世界最大級の資産規模を持つ年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、今月中にも新興国への株式の投資を開始する。運用成績の低迷と年金の支払額増加で資産残高が急減しているため、リスクは高いがリターンも大きい新興国への投資を取り入れ、年金財政の改善を目指す。 投資対象国は中国、インド、ブラジル、韓国など計21カ国。GPIFの現在の運用資産構成は、国債を中心とした国内債券が約7割を占め、国内株、外国債券、外国株が各1割前後だ。外国株は先進国に限ってきたが、一部を新興国株に振り向ける。ただ、投資規模は数千億程度にとどめる。 リスクが比較的高いとされる新興国株式に投資する背景について、大江雅弘企画部長は「新興国の株が市場で存在感が増し、投資しないと機会損失になりかねない」と説明。「低調が続く運用益の向上を求める声が最高潮に達している」(市場関係者)という