高知市の桂浜を語る上で、外せない人物がいる。市役所や県庁から「しがらみ」と呼ばれた男性だ。 弘瀬勝氏。日本ソフトボール協会会長、県観光連盟副会長などの要職を歴任する一方、裏社会にも人脈を持ち、行政に隠然たる影響力を振るった。 2004年10月に64歳で生涯を閉じた弘瀬氏の根拠地が桂浜だった。1964年に土佐闘犬センターを開き、闘犬の興行と土産物販売を営んできた。 「市役所は弘瀬の言いなり。逆らえんかった」。80年代に市観光課に在籍した元職員の男性が言う。 「弘瀬は食いついたら離さん。相手の弱みをとことん追及する。一度、広辞苑ほどの厚さのファイルを見せられたが、中身は県や市の幹部が差し入れた念書と覚書だった」…