印刷 文豪・志賀直哉が谷崎潤一郎から譲り受け、戦後、行方が分からなくなっていた観音菩薩(ぼさつ)立像(木造、高さ約1メートル)が18日から、早稲田大會津八一(あいづ・やいち)記念博物館(東京都新宿区)で公開されることになった。 観音像は11世紀初めごろの作。谷崎が1927年に奈良市の古美術品店で購入し、直哉が譲り受けた。直哉が生活難で手放した後、行方不明になっていたが、奈良市の直哉の旧居保存に取り組む呉谷充利(くれたに・みつとし)相愛大教授(建築史)らが同博物館にあるのを確認した。 呉谷教授によると、谷崎の短編「続蘿洞(らどう)先生」に鼻と足指を損傷した女優が登場する。「観音像も鼻が傷んでいるようで、足指が欠けている。小説の発表は購入翌年で、谷崎は像から着想を得たのでは」と話す。公開は来年2月4日までと、同年3月1日〜6月12日。無料。問い合わせは同博物館(03・5286・3835)