今年は19世紀ロシア文学を代表する巨匠、トルストイの没後100年。世界中に影響を与えた大作家と『老子』を共訳し、葬儀に参列した唯一の日本人、小西増太郎(ますたろう)(1861~1939年)の関連本が相次いで出版されている。中でも増太郎の自叙伝からは、親交を結んだ者だけが描き出せる文豪の横顔が浮かび上がる。(三品貴志)関連記事【Russia Watch】トルスト…トルストイとチェーホフ 文豪2人の「…記事本文の続き 万葉舎(東京都新宿区)は今月、増太郎の自叙伝『トルストイを語る』(1890円)を復刊した。同書はトルストイ没後25年を記念し、翌昭和11(1936)年、岩波書店から刊行。戦後まもなく復刊されたが、その後は絶版となっていた。 備前国(岡山県)に生まれた増太郎は、東京の神田ニコライ神学校でロシア語を学び、明治20(1887)年、26歳でロシアに。モスクワ大学で師事した教授の勧めで『老