新型コロナウイルス感染症のワクチン競争では米ファイザー社がいち早く欧米での実用化にこぎ着け“勝者”となった。初めて実用化されたメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンだが、こうした核酸を使うタイプの長所に東京大学医科学研究所の石井健教授は約20年前から気付き、研究を続けてきた。現在も国内メーカーの第一三共と新型コロナのワクチン開発計画を進行中だ。 以前からある生ワクチンや不活化ワクチンとは効き方が異なる。油の膜に包んだmRNAを筋肉注射する。人の細胞に取り込まれてタンパク質が作られ、抗体など免疫が誘導される。 核酸ワクチンは生産速度には秀でているが、人への接種は初めてで安全性の保証はない。ただ、「それほど重篤な副作用はmRNAワクチン特異的には起こらないだろう」とする。 かつて石井教授は中東呼吸器症候群(MERS)のワクチン開発プロジェクトを進めていた。ただ予算がカットされ凍結。新型コロナ