「ヘリコプターマネーというものは、わが国の現行の法制度のもとでは実施することはできないと思っています」。黒田東彦日銀総裁がこう言った。4月28日、日銀政策委員会の金融政策決定会合後に開かれた記者会見時のことである。6月にも、やはり政策決定会合後の記者会見で同趣旨の発言をしている。 最近、このヘリコプターマネー談議が妙な盛り上がりを示している。ヘリコプターマネーの話は、突き詰めていくと、どうしても中央銀行による財政赤字の肩代わり話につながっていく。 そもそも、ヘリコプターマネーとは何か。この言葉を初めて使ったのは、「貨幣数量説」の大御所様、かのミルトン・フリードマンである。先生の論点をかいつまんで言えば、次の通りだ。 この記事は有料記事です。 残り1723文字(全文2035文字)