「自分は桐島聡だ」。神奈川県鎌倉市の病院に入院し、そう名乗り出た男が29日、死亡した。連続企業爆破事件で指名手配された桐島聡容疑者(70)とみられる男は約40年にわたり藤沢市の土木会社で「内田洋」と名乗り、住み込みで働いていた。身分証や銀行口座を持っておらず、周囲に気づかれた様子もなかったが、関係者の証言からは男の困窮した生活ぶりも浮かび上がる。 「手を貸してくれませんか。この人歩けなくなっちゃって」。藤沢市の土木会社の近くに住む男性会社員(61)は1月初旬、別の男性に声をかけられた。会社の入り口には桐島容疑者とみられる男が座り込んでいた。白髪交じりの短髪で、ジャンパーを着た男はげっそりと痩せていた。 「もうガリガリ。口からはよだれも出ていた」。会社員が声をかけても、男は「うー」とうなるばかりで、会話にはならなかった。 会社員は声をかけてきた男性と2人で男を抱えながら自宅まで連れて行った。