紛争が終結して、新しい国づくりを始めてそのために選挙も行ったのに、再び政事的暴力が噴出してしまう。これはよくあるパターンだと思います。近年だと南スーダンがそうでした。PKOで派遣されていた自衛隊が武力衝突に巻き込まれそうになっていたのは記憶に新しいと思います。 本書は、タイトルのように「なぜ民主化が暴力を生むのか」という問に答えようとした本です。中心的な事例としては東ティモールを、分析手法としては計量分析とゲーム理論を主に用いながら、民主化が暴力を生み出すメカニズムを明らかにしようとしています。 個人的には分析の仕方にいまいちピンとこない部分もあったのですが、テーマ的には非常に興味深いものですし、いくつかの興味深い知見もあります。 目次は以下の通り。 第1章 民主化は暴力を生む? 第2章 先行研究と本書の分析枠組み 第3章 紛争後社会における小規模な政治暴力の発生―政治体制と政治制度が及ぼ