原題は「 North Country 」。北の帝国(家父長制資本主義)に対する、南の国から来た移民(弱者=女性)の異議申し立てがテーマ。 原作はノンフィクションの「集団訴訟」。米国で1984年に訴えを起こし98年に結審、「セクシャル・ハラスメント法」制定のルーツとなった訴訟に基づいている。 スタンドアップ 主人公のジョージーは、家父長制資本主義の犠牲者だ。 家父長制とは、男性が女性を劣等な性とみなして権力を行使する、「女性嫌悪」と「女性蔑視」に根ざした社会関係のシステムである。 近代の資本主義は、資本の蓄積と利潤の追求を最大目的とし、効率化を図るため、公私の領域の分離を求める。公的領域の有償労働は男性に、私的領域の無償労働は女性にといった具合で、前近代よりもさら厳しい制度的な性差別イデオロギーを創出した。 近代国家は家族単位で国民を管理するので、「愛に満ちたマイホーム」は、男性にとって手の