昨年5月、その前年春に26年間勤めた岡山県内の短大を辞めた沢山美果子(59)=同県倉敷市=は、岡山大学での講座「ジェンダーと生きること〜働く未来に向けて」の講師として教壇に立った。 「女性がキャリアを、働くことをつなぐことは想像以上に難しい…」 約100人の学生を前に、沢山は離職した理由やいまなお研究者でいたいのはなぜか、そして働く女性の現状を語った。45分の講義はあっという間に過ぎた。 沢山はお茶の水女子大学大学院を修了後、研究者の道を志した。夫とともに岡山県内に移住し、短大で幼児教育を教えた。「学生を教えながら研究を続けたい」と思っていたが、少子化時代を迎え状況が変わった。 大学間の競争が増し、学生確保のため「自身の考えに反することまで強いられた」(沢山)。職場にこだわるより残りの人生を考えて退職したが、何よりも「学生と接する場」を失ったことはつらかった。 講座は、岡山大文学部教授の倉