本書『読んでいない本について堂々と語る方法』はパリの大学で文学を教えるピエール・バイヤール氏が2007年に出版するやベストセラーとなり、世界中で翻訳出版されている。訳者の大浦康介氏があとがきで言うように、原題の直訳は「読んでいない本についていかに語るか」である。日本版では(昨今売れ線のトレンドに合わせたのだろうか)いかにも「ハウツーもの」的なタイトルになったが、この本の内容からして、第一章から第二章を踏まえて第三章で書いていることがまさにそれなので至極真っ当なタイトルと言えよう。しかし、それでいてこの本は決して単純にその方法論を説いたものではない。 著者は本(読んでいない本)を4つに分類する。ぜんぜん読んだことのない本、流し読みしたことがある本、人から聞いたことがある本、読んだことはあるが忘れてしまった本、の4つである。読んだ本、等という曖昧な概念は意味を持たない。それはこの本が読んでいな