たとえるなら、巨大掲示板サイトに「IS幹部だけど、何か質問ある?」といった書き込みがされていたとする。それが本物かどうかは分からない。だが仮にそれがネタであったとしても一体どのようなリアクションを返してくるのか、試したくなっても無理はない。それがジャーナリストなら尚更のことだろう。 本書の著者アンナ・エレル(仮名)も、初めはそんな軽い気持ちに過ぎなかったのだ。IS(「イスラム国」)関連の取材を進めている最中に、何気なくシェアした一人のジハード戦士のネット動画。程なくして当人と目される人物から、立て続けに3通のメッセージが届く。 こんにちは。俺のビデオ見てくれたんだね。これ、世界中の人が見てくれてて、驚いているんだ!君、イスラム教徒だよね? ムジャ・ヒディン(ジハードを遂行する者)ってどう思う? シリアに来ない? ジャーナリストであった彼女にとって、それが情報を得るためのチャンスにしか見えな