図3. 光子情報を蓄えていない4つの分子が、可視光照射により光子を蓄えたオン状態へ変換し、さらに紫外光照射によりオフ状態へもどる様子。 拡大 九州大学大学院 工学研究院 応用化学部門 教授 入江 正浩 氏 100万枚のDVDが1枚のディスクになる日 〜 ジアリールエテンの開発と応用 〜 氷砂糖のような無色の結晶に紫外光を当てると、結晶はたちどころにルビーのような赤に変わる。ある結晶は青に、ある結晶は黄色に・・・・。着色した結晶は可視光を照射すると、一瞬にして元の無色に戻る。 この不思議な結晶こそ、入江氏が1988年に開発したジアリールエテンだ。これら一群の化合物は、中央にエテンの環があり、その両側にアリール基が結合した構造をもつ。紫外光を照射すると中央のヘキサトリエン部が開環構造から閉環構造へ変化し、可視光を照射すると元に戻る。この構造変化が、色の変化をもたらし、置換基の違いにより