中東ではイスラム国(IS)の台頭に隠れ目立たないが、大きな変動が着実に進んでいる。それは、国をもたないクルド人が、北イラクを中心に独立国家への道を歩んでいることだ。 ISは、2014年8月にイラクのクルド地域政府(KRG)への本格的な攻撃を始めたが、それはトルコ、イラン、シリア、イラクに分散しているクルド人に国民形成と国家建設を促す大きなきっかけとなった。しかも、KRGを北イラク地方の自治政権から、米欧にとって国際政治に死活的な存在に転換せしめる触媒にもなったのだ。 KRGとISは、イラクとシリアにまたがる地域を迅速に占領することで、国際的に承認された既存の国境線をぼやけさせ、イラクとシリアの分裂が残した政治的真空を満たそうとしている。双方ともに、自治の強化や独立国家の既成事実化を図るために、1千キロにわたり直接に「国境」を接する互いの存在を強く意識するようになった。かれらは、相手を映し出
21~26年 「県外移設を求める」 22年11月の知事選で仲井真(なかいま)弘多(ひろかず)は普天間飛行場の県外移設要求を掲げて再選を果たした。18年の初当選時の公約ではV字案には反対しつつも県内移設は容認していた。県外要求を強めた背景に何があったのか。 21年9月、民主党の政権奪取で首相に就任した鳩山由紀夫は「県外移設」を模索したが、迷走の末に22年5月、移設場所を辺野古に戻した。首相を継いだ菅直人は23年6月、計画もV字案に回帰した。 だが、首相の変節は県外移設に期待を高めた沖縄に爪痕を残し、政治情勢と仲井真の公約の変化となって現れた。 市民が県外移設に高揚する中で迎えた22年1月の名護市長選。辺野古移設反対を訴えた稲嶺進が、移設容認派の島袋を破った。
16~18年 燃え上がる機体、充満する煙、黒こげの校舎-。16年8月、普天間飛行場に近い沖縄国際大学に同飛行場所属のヘリコプターが墜落した。8年の合意で期限とされた5~7年が過ぎても普天間飛行場の返還は実現していなかった。 遅々として進まなかったのは、どこに、どのような工法で普天間飛行場の代替施設を建設するか調整が難航したことが大きい。沖縄県名護市辺野古沖を埋め立てて代替施設を建設する計画が決まったのは14年7月で、すでに返還合意から6年がたっていた。 16年4月、ようやく政府が移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の手続きを始めた直後に起きたのが、米軍ヘリ墜落事故だった。少女暴行事件のように県民の反基地感情に火がつき、現場にも飛び火。アセスメントの一環で着手した辺野古の海上調査が、移設反対派の妨害で中止に追い込まれた。 「政府を挙げて取り組まなかったことが問題だ」
昭和59年夏のことであった。出雲市斐川町神庭(かんば)の谷奥の道路建設予定地から、358本という驚愕的な数の銅剣が発見された。そもそも出雲は青銅器文化の空白地帯とされ、ほとんど出土例はなかった。全国から出土した銅剣は約300本とされていたから、空白地帯のただ1カ所から出た数量は圧倒的であった。この遺跡は、付近に荒神が祀ってあったことから荒神谷(こうじんだに)遺跡と名づけられた。全国の熱いまなざしが荒神谷に注がれた。 誰が、何のために埋めたのか。何故、整然と並べて埋めてあるのか。そして、最大の謎は、何故、神庭の谷の最奥部に埋められていたのか。 翌60年の夏、再び荒神谷は熱気にわいた。前年出土した大量の銅剣のわずか右7メートルの地点から、今度は銅矛16本、銅鐸6個が発見されたのである。今回も数々の驚きがあったが、なんといっても最大の驚きは、銅矛・銅剣という武器型祭器と銅鐸という鳴り物祭器が同じ
(出雲における華やかな神話と平凡な考古知見) この難問に明快な解答を与えたのは、早稲田大学教授で歴史学者の津田左右吉であった。彼は大正デモクラシーのリベラルな風潮のなかで「神代史の研究」(大正2年刊)や「古事記及び日本書紀の新研究」(大正8年刊)などを著し、記紀や出雲国風土記の神話は、大和朝廷が自己の権力を正当化し、強化するために作成した極めて政治性の強いフィクション、彼の表現を借りれば、「机上の製作」であり、なんら史実を反映するものではないと主張した。この見解によれば、たとえ出雲神話が日本の代表的神話であったとしても、それが古代出雲の繁栄を証明するものでは決してない。つまり、「華やかな神話と平凡な考古知見」といった矛盾は、たちどころに解消するのである。古代出雲は考古知見が示すとおり、平凡な古代にすぎなかったことになる。津田説は出雲人にとって、まことに困惑すべき学説であったが、戦後の歴史学
ヨーロッパ人が日本人に対して、「われわれヨーロッパには、ギリシャ神話、ローマ神話などたくさんの神話があります。日本にも神話がありますか」と尋ねたら、おそらく日本人は憤然たる面持ちで、こう答えるだろう。「もちろんありますよ。日本はヨーロッパに劣らぬほど、長い歴史をもった国ですから」 すると、ヨーロッパ人は「そうですか。それなら代表的な日本神話を、一つ二つ挙げてみてください」と言うだろう。これを聞いた日本人は、すかさず「そうですね。まず国引き神話、次に黄泉(よみ)の国神話。それからヤマタノオロチ退治、因幡のシロウサギ、国譲り神話などがありますね」とこたえるだろう。 これらは、まさに日本神話を代表するポピュラーな神話である。よく見ると、すべて出雲神話ではないか。出雲神話の条件は、まず、主役の神が国つ神であること、舞台が出雲であること、このいずれかを満たしていればいい。国つ神とは高天原(たかまがは
第4に、価格下落は純輸出国から純輸入国へ所得を再配分する。後者に入るのはユーロ圏、日本、中国、インドだ。米国は今では純輸出国だ。だが、重要な純輸出国は、こうした収入に大きく依存している国々だ。そこに入るのが、イラン、ロシア、ベネズエラだ。もっといい政権にはこんなことは起きようがないのだ! だが、独裁者が窮地に陥った時には危険もある。 第5に、エネルギー価格の下落は資産価格に変化をもたらす。すでにロシアルーブルの急落に見て取れるように、エネルギー生産国の為替レートは下落圧力にさらされる。原油安から直接的、間接的に恩恵を受ける企業の株価は上昇する。これは新たな株式市場のバブルを生むかもしれない。 最後に、原油安は経済の炭素強度を高くし、エネルギー効率を下げる恐れがある。だが、原油安は石油の税金を引き上げる、あるいは少なくとも石油消費に対する無駄な補助金を永遠に削減するチャンスも与えてくれる。こ
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