2004年に作家デビュー。その翌年出版した『さくら』が25万部を超えるロングセラーとなり、文壇に地歩を固めて7年。単行本として17冊目の『漁港の肉子ちゃん』は架空の漁師町でたくましく生きる母子の物語である。(文・竹縄 昌 写真・瀧誠四郎) --東北の漁港がモデルだと伺いました。 「もともと物語の着想は石巻で見たときに得たものでしたが、最終的には架空の街ですから、石巻そのものではないんです」 --そこで見つけたのが漁港にあった焼き肉屋 「女川で焼き肉屋さんを見て、そこに太った人が働いていたらなあと、勝手に考えました。漁港やのに焼き肉屋さんがあって、焼き肉屋さんに漁師さんがお魚を持って来たら楽しいな、と。タイトルも、最初は“港の肉子ちゃん”だったのを、魚と肉を一緒に表紙に書きたいな、と思ってこのタイトルに変えたんです」 --肉子ちゃんのイメージはどのように。 「いちばん自分の気持ちを投影できる