米国カリフォルニア州のモノ湖は、炭酸塩とリンを豊富に含む塩湖である。初期の地球にはこうした湖がたくさんあり、生命が誕生するための環境を提供したと考えられている。(PHOTOGRAPH BY ROBERT HARDING PICTURE LIBRARY) マルクス・ラルザー氏は、生命の起源を研究するつもりではなかった。氏は主に、細胞が養分を取り込むプロセスや、このプロセスがストレスや病気によってうまく働かなくなる仕組みを研究していた。しかし10年ほど前、英ケンブリッジ大学に在籍していた氏のチームは、まったくの偶然から衝撃的な発見をする。 ギャラリー:まるで異世界、地球とは思えない風景 10選 ラルザー氏らは当時、「解糖系」を研究していた。解糖系とは、細胞が利用できる形やエネルギー源になるように、体内で糖を分解する一連の反応のことだ。反応経路の各段階を高感度の技術で追跡していた氏らは、いくつか