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ブックマーク / econ101.jp (15)

  • ピーター・ターチン「人工知能はカウンター・エリートを量産し、社会を不安定化させるだろう」(2023年11月20日)

    ChatGPTをはじめとする生成AI人工知能)の目覚ましい成功は、機械の台頭が労働者にどのような影響をもたらし、最終的に我々の社会をどう変えるのかについて沸騰していた議論にさらに火をくべた。破滅派は、ロボットが人間に取って代わり、人類文明を滅ぼすだろうと予測している。楽観派は、成長に伴う苦しみは避けられないが、乗り越えれば、新たなる知的機械によって我々社会はもっと良くなるだろうと主張している。なんだかだいっても、人類は、過去の技術革命を特に悲惨な結果とせずに、うまく消化してきている。 しかし、歴史から学ぶのは、簡単ではない。AIによる革命は、我々社会に新たな予期せぬストレスをもたらすだろう。現在、技術のシフトのもたらす勝者と敗者について議論されているが、これは重要な側面を欠いている。技術シフト後に社会・政治的な混乱がどれだけ生じるかも重要だ。 この原理の極端な例として、ある特殊な労働者階

    ピーター・ターチン「人工知能はカウンター・エリートを量産し、社会を不安定化させるだろう」(2023年11月20日)
  • ジョセフ・ヒース「なぜカナダの大学教授は学生を恐れないのか:アメリカの大学がポリティカル・コレクトネスに席巻された理由」(2015年6月8日)

    ジョセフ・ヒース「なぜカナダの大学教授は学生を恐れないのか:アメリカの大学がポリティカル・コレクトネスに席巻された理由」(2015年6月8日) カナダのジャーナリストが陥りがちな怠惰な習慣の一つが、カナダとアメリカが同じ国であるかのように語ってしまうことだ。アメリカで何が悪いことが起こっていると、カナダでも同じことが起こっていると彼らは思い込んでしまうことからも明らかで、この思い込み故に彼らは実際の取材に赴かない。 大学が最近「ポリティカル・コレクトネス」に席巻されているのを懸念する件でもこれを観察することができる。アメリカで、大学教授達がトラウマを負っている話が多く報じられ、なぜ学生を怖がるようになってしまったのかが解説されている。また、アドミニストレーター〔アメリカの大学の学生課の職員〕は、デリケートさを募らせている学生を不快にするのを恐れるあまり、学生に隷属してしまっていたり、傍観を

    ジョセフ・ヒース「なぜカナダの大学教授は学生を恐れないのか:アメリカの大学がポリティカル・コレクトネスに席巻された理由」(2015年6月8日)
  • ノア・スミス「弱い円は日本にとって好機,なんだけど」(2022年11月24日)

    [Noah Smith, “The weak yen is an opportunity,” Noahpinion, November 24, 2022] じゃあ,なんで日はその好機を利用してないのさ? ぼくが日にはじめて暮らしたのは,2000年代中盤のことだった.当時,円の値打ちはすごく覚えやすかった――だいたい,1ドル=100円だったからだ.どんなものでも,日で値札を見かけたら,頭の中で100で割ってやればだいたいどれくらいの値段なのかつかめた. 「1ドルだいたい100円」為替レートの時代は,約30年続いた.そして,2022年3月に,なにかがブツンといった.円が下がりはじめて,10月には少しのあいだとはいえ1ドル150円にまで下がって,それから1ドル140円にまで少しもどした: Source: Xe.com ドルにかぎらず,日の実質為替レートはあちこちの貿易相手国に対しても下が

    ノア・スミス「弱い円は日本にとって好機,なんだけど」(2022年11月24日)
  • ジョセフ・ヒース「ワクチン接種は集合行為問題だ」(2015年2月5日)

    Joseph Heath, “Vaccination is a collective action problem“, (In Due Course, February 5, 2015) 何週間か前、集合行為問題の理屈を理解することは多くの人にとって難しい、という投稿を書いた(ホッブズの難しいアイディア)。集合行為問題とは、人々のやりとりがよくない結果にいたるのだが、だれもそれを止める動機を持たない、という状況のことだ。 NHL選手(の間でのおたふく風邪の流行) [1] 2014年にナショナルホッケーリーグ − NHL – 選手の間で起きたおたふく風邪の流行 や トロントでの麻しんの流行で予防接種がニュースになっているので、私はこのところ毎日この問題を考えてしまう。ワクチン接種に関する議論にずっと私はイライラしているのだ。なぜかというと、みんな自分の子供にワクチン接種を受けさせない親は不合

    ジョセフ・ヒース「ワクチン接種は集合行為問題だ」(2015年2月5日)
  • タイラー・コーエン「なんでみんなセックスしないの?」(2005年5月9日)

    Tyler Cowen “Why don’t people have more sex?” Marginal Revolution, May 9, 2005 以下は当ブログの熱心な読者であるマイケル・ヴァッサーのコメント どのような形態の帰結主義も,性的な行動の解釈に多大な困難を伴います。端的にいえば,説明できないセックスの不足があるのです。女性も男性もその他のほとんどの活動よりもセックスを楽しく思う(これは平均としての話で,私がそう感じるかは別の話です)ことを示す研究や,セックスが質的に低コストであることを踏まえれば,おおざっぱな推定に推定したとしても,効用を最大化する人はほとんどの人よりもおそらく多くの時間をセックスすることに費やすように思えます。この点に関する経済学的な議論を何かご存知でしょうか。 僕らに必要なのは正当事由というよりも,取引を拒むことから利益が生じる理由だ。いくつか

    タイラー・コーエン「なんでみんなセックスしないの?」(2005年5月9日)
  • タイラー・コーエン「テレビとセックス頻度」

    [Tyler Cowen, “Television and the frequency of sex,” Marginal Revolution, August 6, 2018] 代替関係はほんと,いたるところにあるもので: 論文では,テレビ所有と性交頻度の関係を検討する.五大陸80ヶ国の全国的世帯調査の4百万人近くから得られたデータを使用する.研究結果からは,テレビが性生活を消し去ったわけではないものの性生活の停滞には関連していることがうかがえる.もっとも控えめな推定でも,テレビを所有していると,その人が過去1週間にセックスした確率がおよそ6パーセント減少するという関連がある.これは,テレビ視聴と性的活動との間に小さな度合いの代替関係があることと整合する.世帯の豊かさと生殖関連の保健知識はこの関連を後押しする要因ではないらしい. 以上は,Adrienne Lucas & Nichola

    タイラー・コーエン「テレビとセックス頻度」
    n_pikarin7
    n_pikarin7 2018/08/09
    気晴らしや娯楽のようなセックスがあり、また、セックスより面白いテレビもある。
  • アレックス・タバロック「どうして性差別と人種差別は減っていかないんだろう――誰もが性別差別も人種差別もあまりやらなくなってるのに」

    [Alex Tabarrok, “Why Sexism and Racism Never Diminish–Even When Everyone Becomes Less Sexist and Racist,” Marginal Revolution, June 30, 2018] 概念は参照クラスしだいでちがってくるという考えはべつに新しくもない.背の低いバスケ選手は背が高いし,貧しいアメリカ人はお金もちだ.とはいえ,青い点はとにかく青い点だろ,と思ったことがある人はいるだろう.青色は波長で定義できる.だから,青いかどうかの線引きにはあいまいなところがあるにしても,「背が低い」「お金もちだ」といった相対的概念とちがって青い点の背後にはなんらかの客観的な現実がある,というわけだ.ところが,Levari, Gilbert, Wilson, Sievers, Amodio & Wheatley

    アレックス・タバロック「どうして性差別と人種差別は減っていかないんだろう――誰もが性別差別も人種差別もあまりやらなくなってるのに」
  • ポール・クルーグマン「苦しむ日本がとるべき道筋」

    Paul Krugman “The Right Course for a Troubled Japan,” Krugman & Co., November 26, 2014. [“Structural Deformity,” The Conscience of a Liberal, November 20, 2014.] 苦しむ日がとるべき道筋 by ポール・クルーグマン Stephen Crowley/The New York Times Syndicate 日の安倍晋三首相が消費税増税の延期を模索してるのは,正しい.延期はいい経済政策だし,ぼくにとってはかなり新鮮な経験でもある――国のリーダーと会って,正しい政策の主張をして,その相手がまさにそのとおりにやってるんだもの.(もちろん,同じ主張をしてた人はぼく以外にたくさんいる.) ただ,懐疑の声もたくさんある.全面的に正当な疑いだ:

    ポール・クルーグマン「苦しむ日本がとるべき道筋」
  • ポール・クルーグマン「中流社会に関する思い違い」

    Paul Krugman, “Misperceptions About Middle-Class Society,” Krugman & Co., August 29, 2014. [“Inequality Delusions,” August 20, 2014; “The Euro Catastrophe,” August 29, 2014] 中流社会に関する思い違い by ポール・クルーグマン Doug Mills/The New York Times Syndicate ドイツ経済研究所 (IW) が,先進諸国で格差がどう受け止められているか比較している――この研究で大事なお持ち帰りメッセージは,「ヨーロッパ人と比べてアメリカ人は自分たちが中流社会に暮らしていると思う傾向が強い」ってことだ.実際には,ヨーロッパと比べて,所得の分布はずっと不平等なのにも関わらずね. たとえば,アメリカ

    ポール・クルーグマン「中流社会に関する思い違い」
  • タイラー・コーエン「白人アメリカ人は奴隷制とその遺産からどれだけ利益を得たのか」

    Tyler Cowen”How much have white Americans benefited from slavery and its legacy?” (Marginal Revolution, May 25, 2014) 補償に関するタナシー・コーツのエッセイについて、多くの人が議論している。エズラ・クラインがこの論議を次のように要約している。 コーツが示しているのは、自らのために複利の力を手にしようと、白人によるアメリカは数百年にも渡って殺傷兵器や人種差別的法律、偏った裁判所や居住地隔離を用いてきたということだ。彼が何度も繰り返し使っている単語は「略奪」である。白人によるアメリカは、アフリカアメリカ人の働きを盗むことによってその富を築き、そしてそれが違法となってからはアフリカアメリカ人の働きと芽生え始めた彼らの富を略奪することでさらに富を増した。そして次には、決定的なこ

    タイラー・コーエン「白人アメリカ人は奴隷制とその遺産からどれだけ利益を得たのか」
  • ポール・クルーグマン「自由市場がいつでも最良の処方ってわけじゃない」

    Paul Krugman, “Free Markets Are Not Always the Best Medicine,” May 23, 2014. [“Faith-based Freaks,” The Conscience of a Liberal, May 16, 2014.] 自由市場がいつでも最良の処方ってわけじゃない by ポール・クルーグマン Mark Graham/The New York Times Syndicate 新しく出たスティーヴン・ダブナーとの共著『ヤバい思考法』(Think Like a Freak) で,スティーヴン・レヴィットがこんなことを書いている.イギリス首相デイヴィッド・キャメロンに,国民保健サービスをつぶして市場の魔法に保健問題を任せちゃった方がいいですよとレヴィットは語ったんだそうだ.これでレヴィットはお利口ぶりを発揮したつもりだった.ところ

    ポール・クルーグマン「自由市場がいつでも最良の処方ってわけじゃない」
  • ポール・クルーグマン「あわれな億万長者どの,尊大な思想とやらに犠牲者気分」

    Paul Krugman, “Poor Billionaires, Victimized by Highfalutin Ideas,” Krugman & Co., March 28, 2014. [“High Fallutin’ Nazis,” The Conscience of a Liberal, March 18, 2014] あわれな億万長者,尊大な思想とやらに犠牲者気分 by ポール・クルーグマン MEDI/The New York Times Syndicate さあ,また一人ご登場ですぞ.格差について語るヤツはどいつもこいつもナチだと思ってる億万長者どのがまた現れた.今回は,ホーム・デポの共同創業者ケン・ランゴンだ.これについて,ぼくはとくに有用なことは言えない.言えることは,こういう連中はいっぱいいるにちがいないって所見くらいだ. つまりね,億万長者なんてそんなに大勢いな

    ポール・クルーグマン「あわれな億万長者どの,尊大な思想とやらに犠牲者気分」
  • ポール・クルーグマン「格差をよくよく見てみると」

    Paul Krugman, “Taking a Closer Look at Inequality,” Krugman & Co., March 21, 2014. [“The French Comparison,” The Conscience of a Liberal, March 9, 2014] 格差をよくよく見てみると by ポール・クルーグマン Andrew Testa/The New York Times Syndicate IMF の研究者ジョナサン・D・オストリー,アンドリュー・バーグ,カラランボス・G・タンガリーディスの3名が書いた,再分配と成長に関する論文 (pdf) について,ずっと頭をはなれない懸念についてぼくも何か書くと約束しておいた.著者たちの結論によれば,少なくとも普通に行われている範囲の再分配政策にはマイナスの効果はなく,格差を減らすことから,プラスの効果

    ポール・クルーグマン「格差をよくよく見てみると」
  • 「無償教育は貧乏人にとってはタダじゃない:教育における汚職と格差」by FORHAD SHILPI

    FORHAD SHILPI “Free Schooling is Not Really Free for the Poor: Corruption in Education and Inequality” (November 18, 2013) 包括的経済成長を推し進めるうえで、教育が最も重要な政策手段の一つであるということは、研究者や政策決定者の間で広く合意を得ている。例えば、Stiglitz (2012, P. 275)では「機会は、他の何よりもまず教育へのアクセスによって作り出される」としているし、Rajan (2010, P.184) は「…不必要な所得格差を減らす最善の方法は、より良い人的資へのアクセスの格差を減らすことである。」と主張している。貧困層の人的資形成に力点を置くことは、一石三鳥だ。というのも、(1)人的資はあらゆる貧困層が”保有する”唯一の資産であり、(2)譲

    「無償教育は貧乏人にとってはタダじゃない:教育における汚職と格差」by FORHAD SHILPI
  • アメリカのトップ1%は成長の果実を(不当にも)独り占め

    2008年に発生した金融危機以降、アメリカの所得トップ1%を巡る論争が激しさを増している。トップ1%の所得の伸び率はそれ以外の層よりも顕著に大きく、また1%の中でも格差が拡大しているが、その伸びがそれぞれの層の生産性の伸び(あるいは限界生産)を反映しているかどうかが論争の主要部分である [1]現在の標準的な経済学の世界では生産性を反映した絶対的な格差はあまり問題にしない。 これについてアメリカ経済学会が発行しているJournal of Economic Perspectiveが特集を組んでいる [2]このジャーナルは一般のメディアと学界の成果を結びつけることが目的のため無料で読める。。今回はBivens & Mishelによる“The Pay of Corporate Executives and Financial Professional as Evidence of Rents in

    アメリカのトップ1%は成長の果実を(不当にも)独り占め
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