◇徴収強化にも限界 「サシオサエ」。大阪市に住む無職の男性(38)は今年3月、預金通帳の印字に目の前が真っ暗になった。市に国民健康保険料の滞納分として差し押さえられたのは預金全額、5万1979円。公共料金用に別に預けていたものだった。 保険料は月約2万5000円。4月で辞めたアルバイトの手取り月18万円では払えず、滞納は延滞金も含め約31万円あった。それでも市職員の「分納していれば差し押さえはない」との言葉を信じ、毎月5000円は納めてきた。「もう、カードも作られへん」 国保は元々自営業者のための制度。しかし、長引く不況は無職の人を加入者の1位(36・7%、09年度)に押し上げた。次いで非正規雇用労働者(32・4%)が占め、自営業者(15・8%)は3番目。国保が高所得者の多い企業健保と同じ役割を果たすのは難しくなりつつある。 09年度、大阪市は納付率84・3%、累積赤字は政令市最悪の366
自転車の交通ルール違反が後を絶たず、事故も多発していることから、警察庁は25日、自転車の原則車道走行を促すことを柱とする自転車交通総合対策をまとめ、全国の警察本部に通達した。自転車通行が可能な歩道を減らすとともに自転車レーンの整備を進めることにより、自転車と歩行者の分離を図り、悪質で危険な運転の取り締まりも強化する。 「自転車通行可」の標識がある歩道は全体の46%を占める。このうち幅3メートル未満の歩道について警察庁は、自転車の走行を原則禁止する方向で検討するよう指示。ただし、幼児やお年寄りは除外し、車の交通量が多く車道走行が危険な場合なども例外と位置付ける。どの歩道を見直しの対象とするかは交通事情に応じて各警察本部が判断する。 また、自転車が通行しやすい環境を整備するため、縁石などで車道と区切られた自転車道や、自転車専用通行帯(自転車レーン)を増やすことも総合対策に盛り込んだ。 街頭での
警視庁は、自転車の車道左側走行の原則を順守させ、これまで積極的に摘発していなかった歩道走行の取り締まりを徹底する方針を固めた。そのうえで自転車のルール順守や走行環境の整備なども盛り込み、全国の警察本部で初となる包括的な自転車安全対策の策定作業に入った。東日本大震災以降、通勤・通学に自転車を利用する人が増え、交通事故全体に占める自転車事故の割合も増加。警視庁は「マナーを守れば防げる事故は多い」と意識向上による事故減を目指す。【伊澤拓也】 ◇震災後に事故急増 警視庁は自転車ブームが高まった数年前から摘発強化に乗り出している。昨年の取り締まり件数は信号無視が300件(前年比189件増)、ブレーキのない競技用自転車「ピスト」など制動装置不良が661件(同659件増)に上り、今年はさらに昨年を上回るペースだという。 一方、歩道での高速走行や一時停止違反の摘発はほとんどなく、警視庁幹部は「黙認と受け取
県産米安全の知らせを聞き、笑顔で稲の天日干しをする農家の女性=福島県二本松市で2011年10月12日午後2時26分、岩下幸一郎撮影 福島県は12日、新米を対象にした放射性セシウムの本検査が終了し、県内1174地点すべての検体で国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を下回ったと発表した。これにより、作付け制限された避難区域を除く県内48市町村でコメの出荷が可能となり、佐藤雄平福島県知事は県産米の安全宣言を表明した。 同日夕、記者会見した佐藤知事は「福島県のコメの安全性が確保された。トップセールスで安全性とおいしさを強調したい」と述べ、県内農家に「自信を持って農産物を作ってほしい」と呼びかけた。 国のコメ検査は収穫前の予備検査と、収穫後に出荷の可否を判断する本検査の2段階で実施。本検査で規制値を超えた地点があれば、1950年時点の旧市町村単位で出荷停止となる仕組み。福島県では9月23日の
◇元保安院長「原発事故対策、コストに業界反発」 東京電力に「嘱託」などの肩書で在籍する天下り中央官僚が47人(8月末)に上ることが24日、毎日新聞の調べで分かった。次官OB向けの「顧問」ポストも加えれば50人を超え、出身は所管の経済産業省から国土交通、外務、財務各省、警察庁、海上保安庁と多岐にわたる。東電福島第1原発事故では安全規制の不備が指摘されるが、原子力行政に携わった元官僚は「(当局と電力会社との)癒着が安全規制の緩みにつながった」と認める。【三沢耕平、野原大輔】 6月28日、東京都港区のホテルで開かれた東電の株主総会。株価暴落で多額の損失を出した株主から「なぜムダな天下りを受け入れ続けているのか」との質問が相次いだ。山崎雅男副社長は「電力事業には(いろいろな)知識を持った方が必要」と答弁。事故の巨額賠償負担で経営が揺らいでも天下りを切れない電力会社の体質を浮き彫りにした。 経産省キ
外務省は、東京電力福島第1原発事故による日本の農産物や観光などへの風評被害対策として、フェイスブックやツイッターなどソーシャルメディアの発信者を海外から招く準備に入った。世界で5億人以上が利用するとされるソーシャルメディアが、中東政変などで大きな影響力を見せていることに着目した試験事業。被災地を回った発信者に、安全性や感動を伝えてもらうことで、風評被害の緩和を狙う。 東日本大震災からの復旧に向けた11年度第2次補正予算で、外務省は風評対策のため、15億円を計上した。外務省として初めての発信者招待は、この対策の一環。 11月ごろから、欧米や中国、中東などから、読者の多い発信者約15人を数回に分けて、福島、宮城、岩手県などに招く方向で、在外公館を通じて参加者を選ぶ。 ソーシャルメディア関係者が、日本に好意的な書き込みをする保証はないが、外務省の担当課は「現地に足を運び、特産物を食べてもらった上
◇「洗う」→「待つ」→「解体」 「東海」では22年880億円 ◇溶けた燃料取り出せるか? 更地は諦めドームで隔離? 原発4基が一度に事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所。1~4号機はいずれも廃炉になるという。そもそも廃炉とは、何をどうすることなのか。それは福島のケースにも当てはまるのか。探ってみた。【宍戸護】 廃炉とは何か? 「原子炉から使用済み燃料を取り出し、全ての施設を解体撤去する」 原子力安全・保安院の資料ではこう定義している。行政用語では廃止措置といい、最終的には更地に戻すことだ。 国内の廃炉は、日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)の動力試験炉(JPDR)が96年に終了した。東海発電所(茨城県東海村)は98~2020年度、浜岡原発1、2号機(静岡県御前崎市)が36年度までに実行予定。ちなみに世界でも解体を終えた原発は15基程度だ。 大事故があった米スリーマイル島原発
【パリ支局】フランス南部のガール県マルクールにある低レベル核廃棄物処理施設「セントラコ」で12日正午前(日本時間12日午後7時前)ごろ、大きな爆発があった。少なくとも施設職員1人が大やけどを負って死亡、4、5人が重軽傷を負った。マルクール消防は「放射能漏れの危険性」を指摘したが、仏原子力庁は「当面は放射性物質の外部への漏出はない」(報道官)とし、原子力事故としてではなく、通常の産業事故として対応に当たっている。 現場は日本人観光客も多い観光地アビニョンから北約20キロ。発生から2時間半が過ぎた時点で、非常事態宣言や周辺住民らへの避難指示はない。 現地からの報道によると、爆発は12日正午前に発生。核廃棄物を熱で溶かす溶融炉内で起きた。遺体は完全に炭化しているといい、爆発のすさまじさを物語っている。 この施設は、原子力庁の研究センターや仏電力公社の子会社の核廃棄物処理会社などが運営し、原子力発
作家や漫画家122人と出版7社は5日、書籍を自ら電子化する「自炊」行為を代行する業者約100社に対し、作家側からの許諾なしに代行するのは著作権侵害の疑いもあるとして、質問書を送った。「無許諾で収益還元のない書籍のスキャン事業が既成事実化し、著作権保護技術の施されていない電子データが大量に出回れば、作家・出版社への影響は深刻」としている。 差出人には、五木寛之さんや里中満智子さんら人気作家、漫画家と講談社や集英社など出版社が名を連ねた。 発表によると「自炊」は著作権法第30条の「私的使用のための複製」にあたり認められるが、専門業者による大規模な代行は、使用者の複製には該当せず許されない▽多くの自炊代行業者はサイト上で「著作権者の許可を得た書籍のみ受け付ける」と定めているが、作家側は許諾を与えたことはない▽「私的使用」を超えた電子データ流出の恐れがある--と主張している。 そのうえで、今後も事
夫婦が落ちて死亡した落とし穴付近を調べる捜査員ら=石川県かほく市の大崎海岸で2011年8月28日午前11時26分、本社機から後藤由耶撮影 27日午後10時ごろ、石川県かほく市大崎の大崎海岸の浜辺で、金沢市湖陽1、会社員、出村裕樹さん(23)と妻で事務員の里沙さん(23)が、波打ち際から約30メートルの砂浜に掘られた穴(約2.4メートル四方、深さ約2.5メートル)に転落した。2人は約2時間後、駆け付けた救急隊員に救出されたが、搬送先の病院で死亡が確認された。県警津幡署によると、里沙さんと友人が落とし穴として掘ったという。死因は砂に埋まったことによる窒息死とみられる。 同署によると、里沙さんは同日午後から、友人の男女5人と遊びに来ていた。友人の話では、裕樹さんが来月上旬に誕生日を迎えることを機に落とし穴で驚かそうと、里沙さんと友人が昼過ぎに掘り、シートをかけて上から砂をかぶせたという。現場には
東日本大震災の発生から明日で5カ月。マグニチュード(M)9.0の巨大地震は東日本の地殻にかかる力を変え、首都圏を含む一部の地域や活断層で地震を起こしやすい状態が続いている。専門家が懸念するのは、阪神大震災(M7.3)以上の被害が想定される首都直下地震への影響だ。発生の可能性はどの程度高まっているのか。【八田浩輔、比嘉洋】 中央防災会議は、東京近郊を震源とする首都直下地震について、M7級の18の地震を想定している。なかでも東京湾北部地震(M7.3)では、最悪のケースで死者1万1000人、全壊全焼の建物は85万棟と想定。関東大震災(1923年、M7.9)のようなM8級の地震より規模は小さいが、大きな被害が懸念されている。 大震災後、特に注目されているのが「立川断層帯」(埼玉県飯能市~東京都府中市)だ。政府の地震調査委員会は7月までに、国内106の主要活断層のうち、同断層帯を含む四つの活断層で地
日本の本格ロックシンガーの代表的存在であるジョー山中(本名・山中明<やまなか・あきら>)さんが7日、肺がんのため神奈川県横須賀市内の病院で死去した。64歳。葬儀は未定。喪主は妻の聡子(さとこ)さん。送る会を9月2日、東京・渋谷のライブハウス「クロコダイル」で行う予定。 日本人とジャマイカ人の両親の間に、横浜に生まれる。63年、混血児をテーマにした映画「自転車泥棒」でデビュー。65年に音楽活動を始め、70年、内田裕也さんの勧めで、「フラワー・トラベリン・バンド」の結成に参加しボーカルを担当。アルバム「SATORI」は、英国、カナダで発売され国際的に評価された。 73年のバンド解散以降はソロ活動へ。77年、映画「人間の証明」に出演。主題歌も歌い、50万枚の大ヒットとなった。07年には「フラワー・トラベリン・バンド」を再始動。今年5月のライブが最後の演奏となった。
放送中の第43部で終了するTBS系の長寿時代劇「水戸黄門」について、ゆかりの地である水戸市の高橋靖市長と近隣2市の代表が2日、東京都のTBSテレビを訪問し放送継続を要望した。3市の観光振興に悪影響が懸念されるとして「連携したイベントやPRなどで協力するので、再検討を」と求めた。 番組は第二代水戸藩主の徳川光圀が主人公のモデルで、光圀の墓がある茨城県常陸太田市や那珂市の市長らが高橋市長に同行した。3市長らの要望書は「番組終了は全国のファンにも私たちにも非常に残念」と述べ「人情や涙、正義感などが集積されたこのドラマは、今の社会でこそ放送の必要性が高い」と訴えている。 水戸市によると、TBS側は「引き際」の重要性を説明しつつ、再放送は当面継続する方針を示したという。【山崎明子】
世界自然遺産の小笠原諸島(東京都)で、小型のカタツムリは、小鳥に食べられても排せつされて生き延びていることを、東北大の千葉聡准教授(生態学)らの研究チームが突き止めた。植物の種子が散布されるように、カタツムリは食べられて生息場所を広げているらしい。捕食者の消化器官を通っても死なない卵や幼虫は確認されているが、成長した動物では極めて珍しいという。 チームは小笠原の母島で野生の小鳥のふんから、体長2ミリ程度のノミガイの殻が消化されないまま見付かったことに着目。捕獲したメジロとヒヨドリに、国内で広く分布するノミガイ計174匹を与えた結果、どちらの鳥でも30~40分後に約15%が生きたまま排せつされた。千葉准教授によると、ノミガイは殻の口に膜を張り、軟体部を消化液から守っていたという。 大陸と地続きになったことのない小笠原では100種の固有のカタツムリが確認され、祖先は海流や風、鳥の体に付着して運
岩手県在住のエッセイスト澤口たまみさんが、25日発売の『宮澤賢治 雨ニモマケズという祈り』(作家の重松清さんらとの共著、新潮社とんぼの本)で「賢治に20代半ばごろ、恋人がいた」と発表した。求道的な詩や童話を多く残し、生涯独身だった賢治については、妹や親友との関係を恋愛に見立てる解釈が主流だった。結婚も考えていたという新たな賢治像は、波紋を広げそうだ。【鈴木英生】 同書によると、恋人の名は大畠ヤス=写真、佐藤春彦さん提供。1896年生まれの賢治より4歳下で、宮澤家の近所に生まれ育つ。賢治が岩手県稗貫(ひえぬき)郡立稗貫農学校(現県立花巻農業高)に就職した1921年には、同じ敷地内の花城尋常小学校(現花巻市立花巻小)で教師をしていた。賢治が仲間と開いたレコードコンサートの場で、恋が芽生えたという。 宮澤家の人々は二人の結婚を考えたが、ヤスの母親が反対した。周囲に変人扱いされていた賢治の性格を気
日本体育協会・日本オリンピック委員会の創立100周年記念レセプションで乾杯をする石原慎太郎都知事=東京都内のホテルで2011年7月16日午後1時19分、西本勝撮影 日本オリンピック委員会(JOC)は16日、20年夏季五輪の国内立候補都市を東京都に決定し、国際オリンピック委員会(IOC)に申請することを正式に発表した。東京都からの申請を同日朝の理事会で承認したJOCの竹田恒和会長は、都内であった日本体育協会とJOCの創立100周年記念祝賀式典後のレセプションで、「日本は大震災からの復興を果たさなければならない。20年の五輪を復興のシンボルとしたい」と述べ、一部競技を被災地で開催する「復興五輪」を旗印に招致活動を展開していく考えを示した。 レセプションでは、石原慎太郎知事が乾杯のあいさつで「勝てなかったら意味がない。東京都とJOCは車の両輪。東京は汗をかいて血みどろになってカネ、施設も作る。J
青森市にある国特別史跡「三内丸山遺跡」で出土した縄文時代中期(4300年前)の土器片から、人が踊る姿を描いたとみられる絵が見つかった。青森県文化財保護課が8日発表した。専門家は、シャーマン(呪術師)を描いた国内最古級の出土品の可能性があると指摘している。 同課によると、この土器片の大きさは縦約8センチ、横約6センチ。絵は羽根飾りを頭につけ、道具を手に踊るような姿。縦約4センチ、幅約3センチで、直径1ミリほどの棒のようなもので刻み付けたとみている。人を描いた縄文土器はまれで、動きのある表現も珍しいという。 この土器片は93年、遺跡中央の盛り土から発掘されていたが、職員が先月、人物が描かれているのを見つけた。同遺跡発掘調査委員会の岡村道雄委員長は「祭具を持ったシャーマンが祈り、踊る姿と推測され、貴重な発見だ」と話している。 土器片は9日~11月20日、遺跡に隣接する展示施設「縄文時遊館」で公開
2050年に「脱原発」を実現した場合の国内の経済影響はほとんどないとの試算を、茂木源人(げんと)・東京大准教授(社会戦略工学)がまとめた。太陽光パネルをすべて国内で生産し、未利用の土地を活用することなどの条件が前提で、実現には政府の姿勢が鍵になりそうだ。 試算は電力会社の依頼を受け実施した。 現在、日本の電源は原発約3割、火力約6割、太陽光を含むその他が約1割。試算では、太陽光パネルの寿命は20年で、発電量は年率1%で劣化するとした。50年までの電力需要を考慮し、(1)原発を段階的に廃止し、その分を太陽光が代替する(2)原発はそのままで、太陽光が普及していく分、火力を減らす(3)原発はそのままで、太陽光は住宅への普及限度の1000万戸まで増え、その分の火力が減る--の3ケースで分析した。 その結果、50年の国内総生産(GDP)は、(1)536兆円(2)533兆7000億円(3)536兆10
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く