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ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (5)

  • 書評 「ストーリーが世界を滅ぼす」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ストーリーが世界を滅ぼす―物語があなたの脳を操作する 作者:ジョナサン・ゴットシャル東洋経済新報社Amazon 書は進化的視点から文学を論じる著書を持つ英文学者であるジョナサン・ゴットシャルによる,物語*1がヒトの認知にとってどのような意味を持ち,それが現在の世界にどういう影響を与えているかを論じただ.あるいは「物語の闇の力」についてのといってもよいだろう.原題は「The Story Paradox: How Our Love of Storytelling Builds Societies and Tears them Down」 序章 物語の語り手を絶対に信用するな 序章では書の大きなテーマが語られている.ヒトが会話するのは,それは相手を「なびかせる」ためだ.それは他人の心に影響を与えることであり,普通には説得で,時には操作ということになる.そして著者は「物語」こそが「なびかせ

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    nabeatsu1
    nabeatsu1 2022/10/03
  • 書評 「The Parasitic Mind」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Parasitic Mind: How Infectious Ideas Are Killing Common Sense 作者:Saad, GadRegnery PublishingAmazon 書は進化心理学者ガッド・サードによる一冊.ガッド・サードは消費者心理やマーケティングを進化心理学的に分析考察する業績で知られている.題名は「寄生性の心:どのように感染性のアイデアが常識を殺すのか」という意味であり,一見したところミーム論ののように見える(私としては進化心理学者の書いたミーム論だと思って手にした一冊になる).しかし実際に読んで見るとこれは現在アメリカのアカデミアで一大勢力を振るうウォークプログレシブによるキャンセルカルチャー告発の書であった.アカデミアのキャンセルカルチャーの問題を扱った心理学者がかかわったとしては以前にルキアノフとハイトの「The Coddling

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    nabeatsu1 2022/06/21
  • 訳書情報 「ヒトは〈家畜化〉して進化した:私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか 」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか 作者:ブライアン・ヘア,ヴァネッサ・ウッズ白揚社Amazon 以前私が書評したブライアン・ヘアとヴァネッサ・ウッズ夫による「Survival of the Friendliest」が「ヒトは〈家畜化〉して進化した」という邦題で邦訳出版された. 書はヒトの同種個体に対する友好性そして協調性が「自己家畜化」を経由して進化したものであることを説得力を持って解説している好著だ.特にトマセロやランガムの元での経験談や家畜化について知るためにシベリアのベリァーエフのキツネ飼育実験場まで赴いた話などは臨場感たっぷりで楽しい.後半はそのような同種個体への友好性を持つヒトがなぜ戦争やジェノサイドを引き起こすのかについて,外集団に向けた敵意も自己家畜化の一側面であり,それが相手の<非ヒト化>を通じて強化されるという議論を行っている.

    訳書情報 「ヒトは〈家畜化〉して進化した:私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか 」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    nabeatsu1 2022/06/13
  • 訳書情報 「都市で進化する生物たち」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    都市で進化する生物たち: ❝ダーウィン❞が街にやってくる 作者:スヒルトハウゼン,メノ草思社Amazon 以前私が書評したオランダの進化生物学者メノ・スヒルトハウゼンによる「Darwin Comes to Town」が「都市で進化する生物たち:“ダーウィン”が街にやってくる」という邦題で邦訳出版された.書は生物の都市環境への進化をテーマに扱った一冊になる.まずアリが作り上げたコロニーが好蟻性昆虫たちのニッチになっているように,ヒトが作った都市環境もまた多くの生物にとって近郊とは異なる新しいニッチ環境なのだという視点を提示し,そこからそこでどのような生物がどのように適応していったのかを様々な例を用いて詳しく解説してくれる. 都市環境は様々に近郊と異なっている.捕者が入り込めない場合もあるし,イエネコなどの別の捕者がいる場合もある.生息域が小さく分断されることもあるし,化学物質(毒物)や

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    nabeatsu1 2020/09/09
  • 書評 「恐竜の世界史」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    恐竜の世界史 作者:スティーブ・ブルサッテ出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/08/09メディア: 単行 書は恐竜学者スティーヴ・ブルサッテによる恐竜.縦軸には恐竜の歴史が描かれ,それに関連した著者自身の発掘やリサーチが横軸に散りばめらるというちょっと面白い構成になっている.原題は「The Rise and Fall of the Dinosaurs: A New History of a Lost World」.興亡史とあるように恐竜の興隆から絶滅までを扱っている. プロローグでは著者が中国でチェンユエンロン・スンイ(Zhenyuanlong suni ) の化石に最初に対面したときのドキュメンタリーから始まる.なかなか読者をぐっとつかむいい工夫だ. 第1章 恐竜,興る 第1章は恐竜の起源物語.最初はペルム紀の大絶滅(252百万年前)から始まる.著者のポーランドの地層

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    nabeatsu1 2019/12/22
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