東洲斎写楽《三代目大谷鬼次の江戸兵衛》1794年, 大判錦絵(36.8×23.6cm), 重要文化財, 東京国立博物館蔵 無許可転載・転用を禁止. Image:TNM Image Archives Source:http://TnmArchives.jp 画像クリックで別ウィンドウが開き拡大表示します 10カ月の絵師 明快で迫力がありながら、どこか違和感のある絵。東洲斎写楽(以下、写楽)である。なぜか酒場の類に写楽という店が多い。“しゃらく”を辞書で引いてみれば、洒落・灑落とあり、物事に頓着せず、さっぱりとしてわだかまりのないこと。「洒落に生きる」などと使うのだそうだ。洒落臭いという形容詞も意味深げだ。写楽のイメージは、洒落の語感と重なり興趣が宿る。 それにしても、写楽という江戸時代の浮世絵師は、生没年不詳でしかもわずか10カ月ほどしか活躍していないが、“謎の絵師”として人気が高い。その魅