「横尾忠則の昭和NIPPON──反復・連鎖・転移」、菊地敦己「Creation Is Free. Production Needs Fee.」 新しい年が明けたけど、今回は昨年後半期に開催された2本の展覧会について書いてみたい。 まず1本目は、当館(青森県立美術館)で開催された「横尾忠則の昭和NIPPON──反復・連鎖・転移」(2013年9月7日〜11月4日)。横尾の個展はこれまで何度も開催されてきているが、今回は「横尾忠則」という一人の作家から「昭和史」を導き出そうという企画。「作品」ではなく、戦前に生まれ、戦争体験を持ち、高度成長期の日本を象徴する存在となった作家の存在に焦点をあて、そこから「昭和」の時代性を浮かび上がらせようとする、意欲的かつ実験的な試みであった。企画は当館学芸課長の飯田高誉で、以前飯田が「誌上キュレーション」を行なった『プリンツ21』の記事「横尾忠則の日本──反復・