<研究の背景と経緯> 高精度な原子時計は、精密計測の要として科学技術の発展を支えるだけでなく、衛星搭載によるナビゲーションシステムや地球規模での高速大容量ネットワーク通信の構築など、現代社会を支える基盤技術として、その重要性はますます高まっています。現在の「秒」は、セシウム原子が選択的に吸収するマイクロ波の周波数を基準とする原子時計で定義されています。これに基づく国際原子時は、およそ1×10-15(3000万年に1秒のずれ)の不確かさで、世界中で共有されています。 光速(c )、電荷素量(e )やプランク定数(h )など基礎物理定数が定数であるなら、それらによって記述される原子に固有な振動数も定数のはずです。そこで、この「原子の振り子」の振動数を数えて、(不変な)時を刻もうとするのが原子時計のコンセプトです。このため、正確な原子時計を作るには、原子に固有の振動数を「正確」に計ることが重要で