あらかじめ断っておくが、最近話題の科学論文を巡る話ではない。 わが国に限ったことではないかもしれないが、「『結論』さえ正しければ、『手続』(プロセス)はさして重要ではない」といった論調をしばしば目にする。しかし、今一度、考え直してほしい。ずさんな「手続」により導き出された「結論」を、果たして誰が信頼できるだろうか?仮に、誤った「結論」が信頼されないだけなら、誰も困らないかもしれない。しかし、正しい「結論」に対する信頼が地に落ちたら、その影響は決して小さくない。その意味では、「結論」が正しいときこそ、「手続」は重要なのである。 例えば、訴訟を担当する裁判官が、一方の当事者の関係者であった場合、いかに公正な判決を下したとしても、疑いの目で見られることは避けられない。司法への信頼を確保する観点から、事案や当事者と一定の関係を有する裁判官を排除する「裁判官の除斥」という仕組み(民事訴訟法23条など