その日、父は長い教員生活の最後の朝を迎えた。40年近く教壇に立ち、本来なら同僚や教え子に労われ、惜別や感謝の言葉を受け取る節目の日だっただろう。だが、コロナ禍で3月初旬から一斉休校となっていた。職場を去る日にもかかわらず、退任式や送別会は見送りとなった。予想外の最後の朝だ。 出勤前、父はいつものように地元紙である北羽新報の朝刊を広げた。ぱらぱらとめくっていくうちに、見覚えのある手書きの文字に出くわし、驚愕した。 新聞紙面全面にデカデカと書かれていたのは、東京に暮らす息子からの手紙だったのだ。 「今日、教師を引退する父へ」と題した手紙には、父を労うこんな言葉がつづられていた。 「教師というお父さんの職業。正直、子どものころは、もっとおもしろい仕事の家族がよかったなと思っていたりもしました。でも、僕も新人や学生を指導する立場となり、“教える”ということが、どんなに大変で、素晴らしい仕事かわかる
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