【ウラジオストク(ロシア極東)=竹内誠一郎、石川有希子】9日閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、尖閣諸島(沖縄県)をめぐる問題で悪化した日中の首脳会談は行われず、「立ち話」だけという異例の事態となった。 日本政府が尖閣諸島の国有化を決定した10日、中国政府は同諸島周辺を中国の「領海」とする基線を発表。さらに、中国外務省が日本非難の声明を出すなど、対日強硬姿勢を強めている。日本政府は中国側に「大局的観点」(野田首相)に立った冷静な対応を求めていく方針だ。 野田首相と中国の胡錦濤(フージンタオ)国家主席は9日、首脳会議の合間に約15分間、通訳を傍らに向かい合った。中継映像に映る胡主席は、硬い表情だった。 野田首相は、29日に迎える日中国交正常化40周年に触れ、「戦略的互恵関係を深化させたい。現下の日中関係については、大局的観点から対応したい」と、両国関係の改善を呼びかけた