(舛添 要一:国際政治学者) 8月15日、タリバンはアフガニスタンの首都カブールに無血入城し、政権を奪取した。ガニ大統領は国外へ脱出した。このような情勢の急展開はなぜ起こったのか? そして、今後の展望は描けるのか? 中国は早々にタリバンの政権掌握を事実上容認するなど、関係構築にいち早く動き出している。関係諸国の思惑も踏まえ、アフガン情勢を解説しよう。 腐敗はびこり、統治能力乏しかったガニ政権 まずは時計の針を20年前に戻してみよう。2001年9月11日、アメリカで同時多発テロが発生した。テロの首謀者はアルカイダだったが、そのリーダーであるオサマビンラディンを匿っているのがアフガニスタンのタリバン政権だとして、米軍は「自衛のため」という名目でアフガニスタンに軍事侵攻した。その結果、2カ月でタリバン政権は崩壊し、アメリカを中心とする国々の支援でカルザイ暫定政権が成立した。 2004年1月には民