今日、“群衆の叡智の活用”として、ソフトウェア開発などでクラウド・ソーシングを重用する傾向が強まっている。だが、“バーチャル・リアリティの父”として知られ、現在は米国マイクロソフトに所属する人文科学者のジャロン・ラニアー氏は、「不特定多数の人々への仕事の委託は、必ずしも賢明な方法ではない」と指摘する。 ――あなたは、著書『You Are Not a Gadget: A Manifesto(人間はガジェットではない:私の持論)』の中で、インターネット上の不特定多数の人々(Crowd:クラウド、群集)に業務委託すること(クラウド・ソーシング)に疑問を投げかけています。クラウド・ソーシングの何が問題なのでしょうか? クラウド・ソーシングの根底にあるのは、「人間は、単独で考えるよりも、集団(グループ)で考えるほうが常に賢い判断を下す」という考え方です。しかし、この考え方は間違っています。 もちろ