サンフランシスコ講和条約の発効に伴う朝鮮人の日本国籍「剥奪」は無根拠、無効だとして、東京都のキム・ミョンガンさん(六一歳)が日本政府を相手取り、日本国籍の確認などを求めている訴訟で、東京高裁(大竹たかし裁判長)は三月二八日、原告全面敗訴の一審判決を支持、キムさんの控訴を棄却した。原告側は上告する。 キムさんは神戸市生まれ。国籍や市民権をテーマに研究、活動を続けてきた。指紋押捺を拒否し、逮捕、起訴された経験を持つ。 植民地化で「日本人」とされた朝鮮人は、日本の敗戦後、日本人でありながら、一方では外国人とみなされた。「日本人」だからと解放民族としての行動(民族教育など)を封じ込め、「外国人」として管理・監視の対象とするためだ。 日本国籍は一九五二年のサ条約発効に伴い一方的に「喪失」させられ、日本政府は「外国籍」を理由に朝鮮人を戦後補償や社会保障から締め出した。後の「北朝鮮へのエクソダス」(帰国