ファクトリーブランドという言葉は馴染みがないかもしれませんが、馬具工房として創業したエルメス、トランク製造工場から始まったルイヴィトン、カバンの修理工場だったグッチ等、世界の有名ブランドは元々、小さな工場(ファクトリー)から生まれました。職人の手がける傑作の一品を店頭で売るというシンプルな商売。20歳の頃、パリのグッチで見習いとして働く機会を得た私は、このルーツを知りました。 翻って日本を見れば、アパレル工場が不利な立場に置かれており、このままでは世界に誇る日本の技術・職人が途絶えてしまうという危機感があります。長引く不況と円高、ファストファッションブームにより、メーカーが低コストな海外生産にシフトした結果、国内におけるアパレル品国産比率は1990年の50.1%から2009年には4.5%まで減少しました(経済産業省「繊維・生活用品統計月報2010年」)。 さらに構造的な問題として、工場で商