先週月曜日に発表された今年のノーベル経済学賞は「(マッチング問題における)安定配分の理論とマーケットデザインの実践に関する功績」を讃えて、米ハーバード大学のアルビン・ロス教授とカルフォルニア大学ロサンゼルス校のロイド・シャプレー名誉教授に授与された。 ただし、2人同時受賞とは言っても、両氏がそれぞれ打ち立てた業績は、かなり違う特徴を持つ。ロス教授の愛弟子で筆者の親友でもある小島武仁・米スタンフォード大学助教授が、2012年10月18日付本サイトでロス教授の業績について心のこもった解説を書いていた。小島氏と同じく「マーケットデザイン」を専門とする筆者は、もう1人の受賞者・シャプレー教授の理論に迫り、解説したいと思う。 マッチング現象を初めて数学の問題として定式化し、誰もが一番ふさわしい相手とマッチできる「安定配分の理論」を生み出したのがシャプレー教授(および故デヴィッド・ゲール)だ。それに対