1、全体的評価―分配面への配慮は評価 平成25年度(2013年度)税制改正の内容を一見すると、経済再生を掲げるアベノミクスを税制面から支援する租税特別措置のオンパレードという印象を受ける。しかしじっくり眺めると、所得税・相続税の負担増を3党合意にそって誠実に実行しており、所得・消費・資産のバランスを取る抜本的税制改正の理念を体現した改正も行われている。 つまり、国民全員に負担増となる消費税率の引き上げの際には、所得・資産について余裕のある者に負担増を求めるという考え方で、所得再分配を強化する改正内容となっている。わが国最大の課題の一つが、格差・貧困問題への対応であることを念頭に置くと、「所得再分配がきちんと行われ格差の少ない国ほど経済成長率が高い」とIMFなどの実証研究成果がある中で、この方向は正しいといえよう。 その意味で、13年度改正は、アベノミクスに基づく経済成長一本やりの税制改正で
![アベノミクス税制改正を吟味する | 研究プログラム | 東京財団政策研究所](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8eb495e50c9d271aecb35e9ff2a04f258d0b431d/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.tkfd.or.jp%2Fassets%2Fimages%2Fshared%2Fnoimage.png)