「腹きり」を躊躇しない ノモンハン事件(1939年5月11日~9月16日)は、当時の満州国とモンゴルの国境地帯で起きた地域紛争だ。日本にとっては、日露戦争(1904~'05年)後、初めての本格的な近代戦争だった。 日本・満州連合軍対ソ連・モンゴル連合軍の間で展開された戦闘であったが、実質的には日本軍とソ連軍の戦いだった。この戦いで日本軍は壊滅的な打撃を受けた。 〈10日あまりの戦いで、ノモンハン事件の帰趨は決した。関東軍第二十三師団はその7割が損耗し、事実上、壊滅した。ソ連側の死傷者数は2万5000人、一方、日本側は2万人。死傷者数ではソ連の被害が甚大だが、作戦目的を達したのはソ連だった。関東軍はソ連・モンゴルの主張する国境線の外に完全に追いやられたのである。 ノモンハンを勝利に導いたジューコフは、その翌年、大将の称号を与えられた。スターリンにも謁見が許され、ジューコフは日本軍についてこう