<NHK ETV特集>映画にできること 園子温と大震災 ことし7月、福島県南相馬市の民家で、完成したばかりの一本の映画が上映された。タイトルは「希望の国」。描かれているのは、原発事故だ。その物語は、上映会に集まった南相馬の人たちが、大震災後の1年あまりの間に体験してきたことと重なる。 撮ったのは、映画監督・園子温(そのしおん)(50)。園は、福島に通い、取材を重ねて、「希望の国」を作った。 園はこれまでも、実際に起きた事件を取材し、エピソードを組み合わせてオリジナルの脚本を書いてきた。それを過激な映像で映しだし、出来事の裏に潜む社会の本質をえぐり出した。 今回も、放射能災害の現場を歩き、被災した人たちから直接話を聞いた。そして、南相馬市でのひとつの出会いから、「希望の国」の着想を得ることになる。 原発事故を映画にするため、園は試行錯誤を重ねた。目に見えない放射能をどう映像化するのか。被災地