■要旨 世界の中で日本だけがデフレに長く苦しんできた。しかしそうした経済環境の中でも、売上を伸ばし雇用を増やしてきた成長企業、成長セクターは存在する。本稿ではそうした企業を抽出して、特徴を調べた。その結果、デフレ期の成長企業はIT関連か消費サービス関連であり、独自性のあるサービスを掘り起こしたり、ITを活用し規模の経済も含めて価格競争力を高めたりした企業群であることがわかった。 つぎに成長企業が多く属する消費サービス・セクターの労働生産性に焦点を当てて実証分析を行った。労働生産性の産業間の比較・評価には慎重であるべきだが、サービス業は平均的に製造業よりも労働生産性が低いという通説を確認した。一方で、サービス業であっても平均的製造業よりも生産性の高い企業も存在することも明らかになった。つまりサービス業の問題点は、生産性の高い企業と低い企業が混在することにある。 日本のデフレの原因の一つとして
![デフレ期の成長企業がサービス業の生産性に与えた影響 -なぜ均質で高水準のサービスが社会を疲弊させるのか-](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/1817d726af33399d3e2c37594ee1154473eacab2/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.nli-research.co.jp%2Ffiles%2Fuser%2Fimages%2Fimage_general.png)