0. はじめに 医療DX入門講座として、これまでは総論的な内容を主体としてきましたが、今回から各論的に医療をとりまくさまざまな情報システムについても取り上げていきたいと思います。 まず、最初に医事会計システム、レセプトコンピュータ(以下、レセコン)を取り上げます。レセコンは日本固有の医療保険制度に対応して、「日本固有の進化」を遂げてきました。 日本では1961 年に国民皆保険が実現し、診療報酬を全国一律の点数表で運用する仕組みが整備されました。しかし、その膨大かつ複雑な点数計算を人手で処理するのは容易ではなく、1972 年には日本初の医事コンピュータ「メディコム MC‑1」が登場します[1]。以来半世紀、レセコンは窓口会計・保険請求だけでなく、受付・予約・経営分析を担う「病院の基幹業務システム」として進化してきました。紙であったレセプトも、2025年4月の統計では電子レセプトが96.7%で
