『日の名残り』(ひのなごり、The Remains of the Day)は、1989年刊行のカズオ・イシグロの小説。同年のブッカー賞を受賞した。この作品は一人称視点によるバイアスを巧妙に利用した例としてしばしば取り上げられる。語り手の執事スティーブンスの元主人は第二次世界大戦前における対独宥和主義者であるが、スティーブンスはその点を意図的にぼかしている。また女中頭のミス・ケントンとの淡いロマンスについても回想の中で理想化されている。 1993年にジェームズ・アイヴォリー監督で映画化された。 あらすじ[編集] 物語は1956年の「現在」と1920年代から1930年代にかけての回想シーンを往復しつつ進められる。 第二次世界大戦が終わって数年が経った「現在」のことである。執事であるスティーブンスは、新しい主人ファラディ氏の勧めで、イギリス西岸のクリーヴトンへと小旅行に出かける。前の主人ダーリン
受賞理由:壮大な感情の力を持った小説を通し、世界と結びついているという、我々の幻想的感覚に隠された深淵を暴いた。 サー・カズオ・イシグロ(Sir Kazuo Ishiguro OBE FRSA FRSL, 日本名:石黒 一雄、1954年11月8日 - )は、イギリスの小説家、脚本家。 長崎県で生まれ、1960年に両親とともにイギリスに移住した。長編小説『日の名残り』で、1989年にイギリス最高の文学賞とされるブッカー賞を、2017年にノーベル文学賞を受賞した[2]。 長崎市新中川町[3]で、海洋学者の父・石黒鎮雄(英語版)(1920年 - 2007年)[4]と母・静子の間に生まれた[5]。祖父の石黒昌明は滋賀県大津市出身の実業家で、東亜同文書院(第5期生[6]、1908年卒)で学び、卒業後は伊藤忠商事の天津支社に籍を置き、後に上海に設立された豊田紡織廠の取締役になった[7][8]。父の石黒
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