住居表示を適用しなかった長野旧市街 「住居表示法」をご存じだろうか。正式には「住居表示に関する法律」である。昭和37年(1962)に施行されたので、すでに60年近い歳月が過ぎた。 そもそも日本の住所の表示は長らく地番を代用しており、特に地番が錯雑した地域では、住所を見ながら現地へたどり着くのが困難な地域が多かった。「代用」と呼んだのは、たとえば欧米における「住所」は、おおむね地番とは別建てで設定されているからである。都市にはそれぞれの通りに名前が付いており、そこにハウスナンバーを振るのが一般的だ。地番はあくまで「不動産関係の財産番号」に過ぎない。 日本では高度成長期の住宅急増に伴い、特に大都市圏の乱開発で土地の分筆がバラバラに行われたことで住所が複雑化した。そこで当局は、海外の事例も研究した結果、都市計画区域では道路や鉄道などに囲まれた整然たるエリアに仕切り直し、それぞれの街区(ブロック)