身体芸術の分野で昨今目立ってきている諸傾向のうち、筆者が興味を抱いているのは、第一に劇場中心的な劇空間の概念を捉え直す動きであり、第二に新作という概念に囚われず過去の遺産を見つめ直す動きである。これらはたんに身体芸術の分野に限った事象ではなかろう。むしろ、インターネットの普及にともない私たちの暮らし全般が変化していることと深く関わる事柄に違いない。先に挙げた二点をここではとくに、「1:フラッシュモブないしフラッシュモブのシミュレーション」「2:アーカイヴへの関心」として特徴化し、それぞれ見ていくことにしたい。 1. フラッシュモブないしフラッシュモブのシミュレーション フェスティバル/トーキョー(以下F/T)は、2012年に「F/Tモブ」を、2013年に「F/Tモブ・スペシャル」を行なった。2012年には小野寺修二、白神ももこ、KENTARO!!!、井手茂太、ジェローム・ベルが、翌2013