D 社では科学計算機用の演算装置を開発しています。このたび研究開発チームは既存のバージョンを改良して性能を向上した新しいプロトタイプを作成しました。同社の品質管理チームはさっそくソフトウェアのベンチマークを測定し、本当に改良がされているか 50 個のサンプルを抽出してテストすることにしました。 品質管理チームによると、もともとの旧製品の性能スコアは平均して 1294 、標準偏差は 34.5 であり、サンプルとしてテストした新製品の性能スコアは平均して 1311 、標準偏差は 28.3 とのことでした。 帰無仮説と対立仮説 話だけを聞くと性能スコアが向上していますから確かに製品が改良されたように思います。このとき、次の 帰無仮説 (null hypothesis) が成立します。 「新製品の性能の平均は、旧製品の平均に等しい」 われわれの感覚では「新製品の性能の平均は本当に旧製品より向上して
