国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる11年分の路線価(今年1月1日時点)を公表した。標準宅地約36万地点の増減率は平均で前年比3・1%減。路線価下落は3年連続となるが、10年分(前年比4・4%減)より下げ幅は縮小した。また、国税庁は東日本大震災の被災地について、被害の程度に応じて特別に路線価を引き下げることとし、その算定に使う「調整率」を今秋にも公表する方針を示した。 「土地取引が全くないんだから、値段なんて付かない」。原発事故に揺れる福島県浪江町の不動産業、石田全史(まさふみ)さん(30)は悲痛な声を上げた。 石田さんは同町や南隣で原発のある双葉、大熊両町を中心に約800の賃貸・分譲物件を取り扱ってきたが、その大部分は原発から半径10キロ圏内。立ち入り禁止の「警戒区域」(半径20キロ圏内)に指定されているため近づくことすらできない。 震災後、18人いた従業員のうち12人を解雇・休