政府が1台10万円程度の「介護ロボット」普及に乗り出すことは、ロボット市場の拡大につながる。要介護者の自立と介護職員不足の緩和、新産業育成という一石三鳥の効果も期待できる。(佐藤友紀) 高い国際競争力を維持してきた日本の産業用ロボットは、国内製造業の空洞化などで需要が頭打ちになりつつある。日本ロボット工業会の統計では、2013年1~3月期の同会正会員など42社の受注台数は5四半期連続で落ち込んでいる。 しかし、センサーやモーターなどの分野に機能を特化すれば、中小企業でも競争力のあるロボットを開発でき、ロボット産業全体の底上げとなる。 経済産業省は介護用だけで35年に4000億円、製造用まで含めるとロボット市場は9・7兆円の産業になると試算する。同省は「日本の自動車産業は高性能少量生産のフェラーリ型ではなく、大量生産されたカローラ型が先導した。10万円の介護ロボットも同様の存在になれる」と期