「幸福であることを夢見られるぐらいの生活が保障される。それが幸福追求権ではなかったか」 横浜市中区の簡易宿泊所街・寿町で、路上生活者の支援を手がける寿支援者交流会の高沢幸男事務局長は、憲法にある生存権、幸福追求権の意味を考える。 しかし現実は…。「1997~98年ごろ、野宿者が一気に増えた。その層も変わった」。それまでは、日雇い労働者などが次の仕事に就くまでの「つなぎ」として路上で暮らす例が一般的だったが、近年は長期化・固定化するようになったという。その上、路上生活者の分布も、横浜・川崎から県全域へと広がった。 グローバリゼーションによる国内経済の空洞化、失業者の増加が背景にある、と高沢は考えている。 ◇ 経済のグローバル化と規制緩和を推し進め、90年代に「新自由主義の優等生」と称されたのがアルゼンチンだった。だが、必ずしも一人一人に幸福をもたらしたわけではない。失業率は95年、