東京都国立市のJR国立駅からまっすぐに延びる桜とイチョウの並木道。昭和初期、住民が植樹したのが始まりで、「自治」のシンボルでもある。元市長の上原公子さん(63)は在任当時、建物を並木と同じ高さまでに制限する条例を定めた。そのことがもとで今、市から三千万円払えと訴えられている。 (小嶋麻友美) アトピー性皮膚炎だった娘のため、自然を求めて三十年前に移り住んだ。真っ黄色なイチョウ並木に一目ぼれした。環境や食の安全などを考える生活者団体を立ち上げ、赤ん坊を抱えての市民運動から、市議に。だが議会での活動に限界を感じ、二期目の出馬はしなかった。 市民運動に戻ったとたん、駅前の高層ビル建設と景観をめぐる住民たちの闘いが始まり、上原さんも裁判に加わる。一九九九年、市長選に出馬し「市民がつくってきた街が壊される。これは自治の問題です」と訴えた。並木の倍以上の高さのマンションの計画があらたに市役所にもたらさ