野田佳彦首相が国連総会で演説し、領土、領海の防衛は国家の責務と主張した。また記者会見で、尖閣諸島の国有化に中国が激しく反発していることに関し「後退をする妥協はあり得ない」と強い決意を示した。 各国代表が集まる国連総会で、領土問題を取り上げるのは異例だ。尖閣や竹島が日本固有の領土だと改めて宣言し、守り抜く覚悟を示した。首相の姿勢を評価したい。 ただ、野田首相は島の名称や中国、韓国という国名には直接言及しなかった。両国を過度に刺激しないとの配慮だろうが、北朝鮮による日本人拉致問題やシリアの圧政では国名を挙げただけに、弱腰ではなかったか。日本の主張の正当性が、世界に十分伝えられたとは思えない。 さらに見過ごせないのは、日中間の情報発信力の差だ。 中国側は、野田首相の演説にすぐさま反撃した。首相が「自らの主義主張を一方的な力や威嚇を用いて実現しようとする試みは受け入れられない」と公船による日本領海