尖閣諸島の“領有権問題”をめぐる日中間の緊張が高まる中、中国政府が果たして今後「尖閣奪取」のために武力行使に踏み切る可能性があるのかどうか、との問題が浮上している。 それに対し、筆者自身の答えはやはり「NO」である。今年秋の共産党大会と来年3月の全国人民大会開催までに政権移譲という国内最優先日程を控え、南シナ海ではベトナムやフィリピンと紛争している最中の中国は、現時点で近隣大国の日本とコトを構える余裕はない。7月31日に中国国防省の報道官が記者会見で尖閣問題について「軍が職責を果たしていく」と述べたことが大きく報道されたが、これは記者から質問をされ「一般論を述べたに過ぎない」と筆者は思う。 確かに中国政府の中から「武力行使」の声が上がったこともある。同月11日、国家海洋局が所管する「海監総隊」の孫書賢副総隊長が、「もし日本が釣魚島(尖閣諸島の中国名)問題で挑発し続けるなら、一戦も辞さない」