「変な馬でも腕で勝たせた」という自信がある騎手が、調教師になってもそのようなプライドを携えているようでは、成績は思うように上がらない。マネーゲームの側にもいないと、いまの競馬はやっていけない。 名騎手だった調教師たちにそう言って聞かせるのだが、彼らはおしなべて、 「俺たちはそんなことできない。マネーゲームをやって、いい馬を入れれば数字は上げられる。でも、成績を上げたから名調教師、ではないと思う」 と突っ張る。それでこそ名騎手であったわけだが、私にとっては、勝てばいいのに勝たない彼らに、腹が立ってしょうがない。なぜ、私がやったことを真似しようとしているのか、悪いところまで真似しなくていいのに、と。 ただ、彼らの気持ちが私にはよくわかる。いい馬を入れないと勝てないと説教をしながら、彼らには「ゼニさえ出せばなんでも走る馬を買ってこられる」という言い方はしてほしくないと思う。そういう考え方は、競馬