2015年に「このマンガがすごい!オトコ編」第1位に輝き、2016年にはアニメーション映画化もされた話題作『聲の形』。耳が聞こえない少女を巡って同級生たちが、そして大人たちが幾重にも苦悩し、ときには衝突する凄絶な物語を読み解いてみましょう。ネタバレが含まれますので、ご注意ください。 著者 大今 良時 出版日 2013-11-15 物語の発端は、西宮硝子という少女が、毎日を「退屈との戦い」と捉えてやんちゃばかりしている小学6年生の少年、石田将也がいる学級に転校してきたことでした。硝子は耳が聞こえません。そのため、筆談ノートを持ち歩き、「どうか、わたしと話すときはこのノートにおねがいします」と挨拶した硝子に、最初こそ同級生たちは親切にしていました。しかし筆談を面倒がるなど次第に同級生たちは硝子を疎んじはじめ、硝子はいじめられるようになってしまいます。 この導入部分を見ると、一見、障害を持った人