「牛」の保護をめぐってインドが大きく揺れている。経済発展で食の多様性が増し、食用牛の需要が高まる一方で、ヒンドゥー教原理主義団体などが行政に「愛国」的な圧力をかける。おかげで今年に入って、牛の食肉解体を全面禁止したり、特定の祭の期間にすべての食肉販売を禁止するなど、州政府レベルで法規制が軒並み強化されている。 その発端はマハラシュトラ州政府で20年前に州法制定しながら中央政府がこれまで施行認可をしなかった、修正「動物保護法」を今年3月、大統領府が認めたからだ。これによりインド最大の商都ムンバイを有する同州ですべての牛の食肉解体が禁止となった。 さらに9月から年末にかけてインドは様々な宗教の大祭が相次ぎ「祭りの季節」を迎える。それに合わせて牛以外の食肉規制もこれまで以上に強化されそうだ。例えばこの9月半ばには(厳格な菜食主義が基本の)ジャイナ教徒の大祭期間中、北西部の4つの州政府がすべての食