累計2700万部を超える大ヒットとなった人気マンガ『のだめカンタービレ』の影響でご新規の聴衆が増えたこともあってか、この1、2年、クラシック演奏会の鑑賞マナーが取りざたされている。会場でのクレームが増加し、会の主催者などが苦慮。それを受けて昨年暮れ、業界団体がエチケットを啓蒙(けいもう)する小冊子を10万部も発行して、主要ホールなどで配布している。 だが、完全な静寂を目指すかのようなクラシック・ファンの主張は、少し行き過ぎではないか。生身の人間が多数集う以上、くしゃみや咳(せき)をハンカチで押さえ損ねる人だって中にはいるだろう。非難すべきは、静寂を保つ意思のない、明らかにはた迷惑な、継続的に雑音を立てる人で、そういう聴き手はさほど多くないはず。万一ノイズを立て続ける無神経なお客がいたら、近くの人が即座にやんわりと注意すればよいのでは。 片や、静寂を求めるあまり、緊張しっ放しだからだろうか、