キリストが中国人女性に転生したという教義を信じる「全能神」は、1990年代から今世紀にかけて勢力を伸ばした中国のプロテスタント系新宗教だ。2014年には山東省のマクドナルドの店内で、勧誘を拒否した女性を信者たちが撲殺したとされる事件も、中国メディアにより報じられている。彼らは当局からは「邪教」として弾圧を受けており、中国国内では地下活動を余儀なくされる「秘密結社」化した存在となっている。 中国ルポライターの安田峰俊氏は著書『現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史』(中公新書ラクレ)で、日本国内で暮らす信者へのインタビューをおこなったほか、全能神が成立した経緯とその教義の性質にも切り込んでいる。同書から一部を抜粋・再編集して紹介しよう。(全2回の2回目/前編を読む) ◇◇◇ 中国の「邪教」筆頭へ 中国におけるプロテスタントは、三自愛国委員会という政府系の組織により統括され「中国共